マルチフェーズフィールド法を用いたオーステナイト系ステンレス鋼凝固組織形態の予測--オーステナイト系ステンレス鋼溶接金属の凝固割れ現象のモデリング（3）

摘要

第一報［1］では、特に溶接凝固過程において初相以外にδ相やγ相の晶出を伴うAFもしくはFAモード凝固するオーステナイト系ステンレス鋼溶接金属における凝固割れ感受性は、液相中への合金元素のミクロ偏析だけではなく液相の残存形態即ち溶接凝固組織の形態にも強く依存することが明らかとなった。一方、第二報では、溶接金属凝固組織形態を予測する手法を提案するために、界面エネルギーの異方性を考慮したマルチフェーズフィールドモデル（以後、MPFMと称す）を作成し、少なくともNi－Cu二元系においては90°対称を有するデンドライト一次アームの成長並びに二次アームの成長及び粗大化挙動を再現可能であることがわかった。そこで本報では、提案されたMPFMを用いてFe－Cr－Ni系オーステナイト系ステンレス鋼溶接金属における凝固組織形態の予測可能性を検討した。