Cu含有低合金鋼の溶接熱影響部の靭性に及ぼすMnとSiの影響

摘要

石油·天然ガスなどのエネルギー開発は、近年の海洋資源開発は大陸棚より大水深でTbnsion Leg Plattbrm（TLP）などを利用した採掘が主流になりつつある。その構造部材は一度海洋事故が発生すると、周辺環境に与える悪影響が甚大であるため、溶接継手も含め、構造物のき裂進展に対するアレスト性、破壊靭性に対する要求値が厳しくなっている。Cu含有低合金鋼であるASTM A707鋼は海洋構造物用鋼として広く適用されているが、本銅種の溶接継手、特に溶接熱影響部（M）において、安定的な破壊靭性が得られているとは言い難い。我々はこれまで、本銅種のHAZ靭性に及ぼすCuの役割を明確にし、テンパービードによる靭性回復挙動にCuが重要な役割を担っていることが明らかにしてきた1）。一方で比は靭性の安定的な確保のためには、局部的脆化部（LBZ）そのものを抑制する必要がある。そこで本研究では、本鋼種の溶接HAZの破壊靭性値の改善に向け、MnとSiの影響を明確にすることを目的とした。