PA6シートを用いた連続繊維CFRTPとA5052合金の摩擦シーム接合

摘要

近年，地球温暖化の問題から二酸化炭素の排出量削減が求められている。そのため，自動車では燃費向上を目的とした車体の軽量化が進められており，金属材料と炭素繊維強化プラスチックなどの樹脂材料を適材適所に使用するマルチマテリアル車体に向けた取組みが行われている．炭素繊維強化プラスチックには熱硬化性樹脂をマトリックスとするCFRTSと，熱可塑性樹脂をマトリックスとするCFRTPがあるが，リサイクル性，製造性などの観点から自動車にはCFRTPの使用が検討されている．しかし，CFRTPと金属材料を従来の機械的接合や接着接合した場合，穴あけ加工部の応力集中や有害物質の発生などに課題がある．摩擦擾拝接合は，主に非鉄金属材料の接合に用いられている固相接合で，接合による強度低下や変形が小さいなどの多くの優れた特徴があり，樹脂材料の接合にも適した接合方法である1）。永塚らは強化材に短繊維を用いたCFRTPとアルミニウム合金の摩擦重ね接合におけるシランカップリング処理の有効性を明らかにしている2），しかし，繊維体積含有率が低い短繊維CFRTPを用いれば，接合時に溶融する樹脂量が増加し，接合面積が大きくなるが，短繊維CFRTPは強度が低いため，引張せh断試験では短繊維CFRTPで破断する結果となっている．そこで，本研究では高強度なCFRTPとアルミニウム合金の接合体を開発することを目的に，圧延したPA6シートを用いて，連続繊維CFRTPとアルミニウム合金の摩擦シーム接合を行った。