高硬度ナノ多結晶ダイヤモンドの超高圧合成とその特徴

摘要

われわれは数年前、高純度グラファイトを出発物質として、超高圧高温下の直接変換焼結により、ダイヤモンド単相の高硬度多結晶体の合成に成功した。この多結晶ダイヤモンドは、数十nmの非常に微細なダイヤモンド粒子からなる緻密な組織を有し、単結晶ダイヤモンドを越える高い硬度を有する。さらに、単結晶のようなへき開性や硬度の異方性がなく、耐熱性にも優れる。このような優れた特長から、このナノ多結晶ダイヤモンド（以下NPDと記す）は、切削工具や耐摩工具用の新しい硬質材料として期待できる。このNPDの実用化に向けて、われわれは現在、その大型化技術や量産技術の開発を行っている。開発当初は、試料サイズは1mm以下と小さかったが、最近ではFig．1に示すような直径5mm前後の大型で、クラックや異物のない良質なNPDが合成可能となっている。ここでは、このNPDの合成技術と各種特性や出発物質の影響について、われわれが行ってきた研究の結果を総括する。