高齢者用レジン床義歯の開発一軟質裏装材の力学的特性

摘要

我が国は超高齢社会を迎え、高齢者人口は増加の一途をたどっている。そのような中、高齢者人口の増加に伴う入れ歯人口の急増が懸念されており、入れ歯の不具合、噛み合わせの違和感などを解消し口腔機能を確保することが重要な課題となってきた。こうした高齢者のQOLの維持、改善を図る上でこのことは急務である。特に、顎堤が高度に吸収されてしまった入れ歯装着者では、義歯床下粘膜の罪薄化に伴って、義歯のわずかな移動や支持圧力により義歯床下粘膜の痺痛を頻発するようになるばかりでなく、祷瘡性潰瘍を発生させてしまう場合ある。そのような患者には軟質裏装材が有効であるとの臨床報告がなされているが、その力学的効果については特に議論されていない。また、市販の裏装材は口腔内で劣化し易い欠点がある。