発現パターンに基づく遺伝子ネットワークの学習による設計法-一般化したモデルへの拡張

摘要

遺伝子の発現機構を調べることは生物の仕組を理解する上で重要であり，遺伝子発現の調整機構である遺伝子ネットワークを対象とした研究が盛hに行われている．その一つに，所望の機能を持つ遺伝子ネットワークを人工的に設計，実現する研究がある．これには二つの背景がある．一つは，これが細胞の制御を実現するための最初のステップになることである．すなわち，これによって生物的プロセスを操ったりモニタするための遺伝子ネットワークを細胞内に組み込むことなどが可能になり，遺伝子治療やタンパク質の工学的な合成の研究の足掛かりになると考えられる．二つ目は，遺伝子ネットワークの機能の解明につなげようとするものである．すなわち，遺伝子ネットワークをモデル化してそれを人工的に構成し，その振舞を調べることにより遺伝子ネットワークの機能のメカニズムを解明するという構成論的アプローチである．