スフィンゴ脂質類似アミド結合型ホスファチジルコリンの有機合成と二重膜物性

摘要

真核生物の生体膜は多数のグリセロリン脂質と少数のスフィンゴリン脂質を含hでいる。両リン脂質の分子構造上の差異は二つの疎水鎖の結合様式にある。前者は2つの脂肪酸が、共にグリセロール骨格にエステル結合で連結しているのに対し、後者は一方の脂肪酸はエステル結合、もう一方の脂肪酸はアミド結合で連結している。本研究では、骨格に2つの脂肪酸がアミド結合で対称的に連結した非天然のアミド結合型リン脂質であるジパルミトイルアミドデオキシホスファチジルコリン（DPADPC）を有機合成し、DPADPCが水中で形成する二重膜の物性を調べた。結果を、同鎖長で結合様式が異なる同族体脂質（エステル結合型：ジパルミトイルPC（DPPC）、エーテル結合型：ジヘキサデシルPC（DHPC））のものと比較し、疎水鎖結合様式が脂質膜物性におよぼす効果を検討した。