生体組織の凍結保存における耐凍剤影響の3次元計測

摘要

近年，次世代医療技術として注目されている再生医療，人工臓器，がh，ヒトの不妊などの治療法に用いるため，精子，卵子，胚，卵巣組織の摘出保存など，生殖細胞の凍結保存に関する研究が様々な分野において行われている．しかしながら，これらの凍結操作において氷結晶，低温（フラクチャー）および耐凍剤（毒性，浸透圧膨張·収縮）の傷害を受ける．特に，氷晶は，再結晶化による大きな氷結晶が形成され，細胞を物理的に破壊し，致命的な損傷を与えることが知られている．このため，細胞の凍結保護物質として耐凍剤（エチレングリコール，C_2H_6O_2, Ethylene Glycol: EG）が使われている．しかし，EGと氷結晶の相互関係，いわゆる，生殖細胞·組織の凍結傷害および耐凍剤の傷害は，定量的に解明されていない．本研究の目的は，生体材料の凍結保存における耐凍剤の影響を評価するために，近赤外分光イメージング法により，エチレングリコール（Ethylene Glycol: EG）を浸透させた生体組織内おける氷結晶を計測することにある．