外部冷熱による電算機室用空冷パシクージ空調機の高効率化

摘要

データやンター（以下，DC）では，通信インフラの性能向上，IT機器のクラウド化，データ量の増加，サーバーラツクへの高集積化などにより，単位床面積あたりの発熱量が急速に増加している．このような発熱負荷密度の高いDC向けの空調設備は，IT機器の安定稼働のための高品位な温熱環境を維持できる空調方式と熱源システムの大幅な高効率化の両立が求められる．このようなDC向けの空調設備の省エネルギー化のために，著者らは，サーバー室内のコールドアイルとホツトアイルを確実に区画して発熱負荷を効率良く処理できる水冷の室内熱交換器を用いた空調方式を開発した．この空調方式において，熱源機を含めたシステムの省エネルギー化の一方策として，室内熱交換器の直膨化が挙げられる．DCの約8割において熱源機として採用されている電算室用空冷パツクージ空調機（以下，電算室用空冷PAC）の高効率化はDCの空調用エネルギー消費量削減のために重要である．しかし，空冷PAC単体での大幅な効率向上には限界がある．著者らは，空冷PACの冷房運転時の消費電力削減を達成できる『冷媒サブクールシステム』を開発してきた．このシステムでは室外機と室内機の連絡配管の液冷媒配管に設置した冷媒/水熱交換器を介して，冷却塔の水や井水など機外の様々な冷熱源によって室外機出口の液冷媒を冷却することで空冷PACの冷凍サイクルの性能を向上させる．本報では，電算室用空冷PACを空調用熱源として採用するDCのエネルギー消費量削減を目的として，市販の電算室用空冷PACに冷却塔を冷熱源とする冷媒サブクールシステムを適用し，種々の負荷率と外気温度で実施した性能試験結果について報告する．