二次元急拡大管内の流れ場に関する研究

摘要

急拡大管内流れは，管基底部に負圧が生じ，時に衝撃波を伴う自励振動を生じるという特徴がある．この特徴を利用した製品に真空エゼクタがある．真空エゼクタは，主に，工場の自動搬送装置に使用されている製品である．約1mmのノズルから高速噴流を流すことにより，管基底部に発生する負圧を利用して部品のハンドリングを行う．真空エゼクタ内の流れ場は急拡大管内流れと類似しているため，先に述べた非定常な挙動が真空エゼクタの騒音や効率低下の原因といわれている．エゼクタ内の流れ場が非常に小さいため圧力測定や可視化など直接的な方法で流れ場を解析するのは困難である．そこで，本研究では，この困難を回避する一つの方法として水力学的相似に基づく浅底水流に着目し，それを利用して真空エゼクタ内の流れ場の構造を解析することを目的とする．本稿では，浅慮水流を用いて二次元の急拡大管内の流れ場を再現し，ノズル出口下流に間隙を設けた場合の管基底部の圧力変化について実験と数値計算により考察した．