酸化グラフェン懸濁液を利用したPDM　製細胞足場め作製

摘要

再生医療は、培養細胞を利用することにより生体組織の再生や臓器機能の代替を行う先端医療技術である。この技術の発展には、増殖分化能の高い細胞だけでなく、生体内で細胞と接着し組織構造を保持する細胞外マトリックスの構造を模倣した細胞足場材料の開発が不可欠である。そのバイオインターフェイスとなる表面のナノメートルレベルの構造については、細胞の挙動への効果が明らかになっておらず、今後の重要な課題となる。多層カーボンナノチューブおよびグラフェンを細胞足場材としたマウス繊維芽細胞による培養試験が行われ、ナノサイズの形状が細胞の接着を向上させ、伸展や増殖を促進させることが報告されている1）。我々のグループは、Parkらにより報告された極めて高い分散性を示す酸化グラフェン懸濁液2）を利用して作製したPDMS（ポリジメチルシロキサン）基板を足場とした細胞培養試験を実施し、細胞の増殖性を確認している3）。　本研究では、前報3）で報告した足場基板について、その表面構造評価を行い、微細構造と細胞の増殖性の関連について検討したので報告する。