酸化ダイヤモンド担持Ni-Cu二元系触媒を用いた炭化水素め接触反応によるマリモカーボンの合成

摘要

我々の研究グループは、ダイヤモンド（sp~3炭素）微粒子を核として、繊維状ナノ炭素（sp~2炭素）が覆うように成長した新規炭素複合材料(Dia．－CNFs）“マリモカーボン”の合成研究を行っている1）。酸化ダイヤモンド担持Ni触媒(Ni/O－dia．）を用いてメタンの接触反応により合成したマリモカーボンを構成するCNFsの微細構造は、カップ状のグラフェンシートが積層した繊維状構造を形成している。その繊維径及び微細構造は、合成温度によって制御可能である。微細構造を活かして、リチウムイオン電池の導電助剤や固体高分子型燃料電池の電極触媒担体へ用いる研究を行っている2）。一方、酸化ダイヤモンド担持Cu触媒（Cu／O－dia.）を用いた場合は、炭素析出は得られない。一般に、Cu触媒単独では、炭化水素との接触反応において、炭素析出に触媒作用を及ぼさないことが知られている3）。しかし、Ni触媒の一部をCuで置換するとNi触媒のみの場合と比べて、著しい炭素析出量の増加や規則性のあるグラフェンの構造形成が報告されている4）。マリモカーボンの合成において、Ni触媒の一部をCuで置換することで、炭素析出反応条件に幅が広がり、新しい構造及び物性の発現が期待される。