マグネシウム合金表面処理材の海浜環境における異種金属接触腐食試験

摘要

マグネシウム合金は，構造用金属材料で最も軽量であり，ダイカスト材を中心に携帯機器部品などとして利用されている。その性質は省エネルギー対策や環境問題の解決に貢献でき，将来的にも利用が注目される金属材料である。近年では，?Z91Dマグネシウム合金塗装材の長期大気暴露試験においてアルミニウムダイカスト塗装材と同程度の耐久性を示す結果が得られているl）。しかし，マグネシウムは標準電極電位が他の金属に比べ，非常に卑であるため，その他異種金属との接触腐食が起こることは十分に考えられる。ニれまで我々は，マグネシウム合金の異種金属との接触腐食に関する基礎データを得るた鋸こ，AZ91のマグネシウム合金の未処理材と異種金属の接触腐食試験を行ってきた。既報ヱ）では，炭素鋼（SPCC）やステンレス鋼（SUS304）は，接触腐食を進行させるが，亜鉛めっきやダタロ780などの表面処理を行うことで接触腐食を抑制できることを報告している。本報告では，長期の耐久性を想定し，あらかじめ表面処理を施したAZ91Dマグネシウム合金と鋼，ステンレス鋼，アルミニウム合金を異種金属として接触させ，6年間大気暴露した結果について報告する。