窒化スズ薄膜の斜め堆積スパッタリングにおける基板温度の影響

摘要

大気の約80％を占めている窒素は，化学的に非常に安定なため，自然界に窒化物の状態で産出する金属元素は存在しない．近年，多くの金属窒化物が合成され，物性研究が行われている．青色発光ダイオードで使用されるInGaNなど，一部はすでに実用化されている．しかし，スズの窒化物に関しては，多く研究がされているとは言い難く，解明されていない部分が多いのが現状である。これまでに，反応性マグネトロンスパッタリング法によって窒化スズ薄膜が堆積可能であることが報告されており，堆積時の基板温度によって，スピネル型Sn_3N_4と閃亜鉛鉱型SnNの結晶相が生成することも報告されている。前回（第127回講演大会），斜め堆積法を適用することによって, 微絨毛構造化窒化スズ薄膜の作製に成功したことを報告した．本研究では，基板温度によって，斜め堆積法に由来する微繊毛構造がどのような影響を受けるのかを明らかにすることを目的とする．