ねずみ鋳鉄の残留応力から考えられる引け巣生成メカニズム

摘要

一般的に鋳鉄は引けが無い又は少ないと言われる。それは，過飽和に含まれる炭素が黒鉛として晶出する際に膨張（黒鉛膨張）が生じ凝固収縮を補うためだと言われている。しかし，炭素が黒鉛として晶出するために膨張が生じるならば，ねずみ鋳鉄より高い炭素濃度の球状黒鉛鋳鉄のほうが引けが少ないことになる。しかし，実際の生産では，炭素濃度の低いねずみ鋳鉄の方が引けが無い又は少ないと言われ，湯口方案も押し湯等省いた設計となっている，筆者らはねずみ鋳鉄の引けが少ない理由を研究してきた．そして，亜共晶組成であるねずみ鋳鉄は，デンドライト（初晶オーステナイト）が先行晶出しデンドライト間で黒鉛膨張や凝固収縮が生じるので体積変化は相殺される．よって，ねずみ鋳鉄は引けないと言われると考えた．しかし，これだけでは散発する製品内部の微細な引け巣を説明できない．よってクデンドライトによる効果と湯口方案を合わせ検討した。