断熱金型を用いた精密射出成形における微細表面転写性と高次構造形成

摘要

マイクロ射出成形において金型温度の制御が微細構造の転写に大きな影響を与えることが知られている．しかし，単純に金型温度を高くする条件は，サイクルタイムが長くなるなど，生産性とのトレードオフとなる．この問題を解消しつつ微細構造転写性を向上させる方法の一つとして金型部材に断熱素材を用いる方法（断熱金型法）が考えられる．この方法の特徴は，断熱素材を金型に設置するだけで済み，断熱素材の耐久性や加工性に問題があるものの，成形サイクルの短縮に大きな効果がある点である．そこで本研究では，断熱素材にジルコニアを使用し（Fig.1），金型温度を制御する断熱金型法により，様々な金型温度で成形実験を行うことでより高品位の微細表面転写射出成形品を作製するための基礎的知見を得ることを目的とした．