異なる二次方位を有する第一段高圧タービンブレードとして実機使用した単結晶Ni基超合金のγ’相の形態

摘要

航空機用ジェットエンジンの第一段高圧タービンブレードには，優れたクリープ特性および熱疲労特性等を有する単結晶Ni基超合金が用いられている。一般に，稼働中のタービンブレード(以降，ブレードと呼ぶ)は高速回転に伴う遠心力が発生し，ブレード長手方向への引張応力が負荷されると考えられている。このため，単結晶Ni基超合金においてクリープ特性等の高温における機械的特性のバランスが最も優れた[001]をブレード長手方向として設計，製造され，実用に供されている。単結晶Ni基超合金は高温にて[001]の引張応力が負荷されると，強化相である立方体状のγ’(Ni_3(Al,Ti))相は応力軸に対して垂直方向，すなわち，(001)に沿って板状のラフト構造を形成することは良く知られている。ブレードは実機使用中，高温下で高速回転しており，温度·応力の実測が困難であることから，γ’相の組織形態変化に関する知見に基づいた使用環境を推定する研究が注目されてきた。そこで本研究では，二次方位が異なる実機使用した単結晶Ni基超合金の第一段高圧タービンブレードについて，それぞれ詳細な組織観察を行い，二次方位とγ’相の形態との関係について検討する。