SiC/SiC複合材料部材表面に適用するための高温熱輻射反射機能耐環境コーティングの基本設計

摘要

SiC繊維強化SiCマトリックス複合材料（以下、SiC/SiCと記述する）は、低密度（2～2.5g/cm~3）かつ、高温で金属材料では得られない優れた力学特性を持つためにガスタービン用材料としての応用が期待されている。SiC/SiCの実使条件においては耐環境コーティング(EBCs: Environmental Barrier Coatings)の適用が不可欠であると考えられている。これまでのEBCsには、耐環境性と低熱伝導性の観点から、BSASやムライト系材料が検討されてきた。SiC/SiCの適用環境下は高温であるため熱輻射の影響が極めて大きくなる。この影響は絶対温度Tの4乗に比例して大きくなる。上述のEBCsや熱遮蔽コーティング(TBCs)に用いられる酸化物系セラミックスは可視～近赤外領域の波長の電磁波(光)に対して透明であり、輻射による熱エネルギーはコーティング層を透過し基材を加熱することになる。この影響は絶対温度の4乗に比例して大きくなる。輻射による熱エネルギーの流入を防ぐことができるコーティングが存在すれば、コーティングされている部材自体の温度を低下させることや冷却を少なくすることが可能になる。本研究では、さらに高い熱輻射反射機能を得るために、周期的な凹凸構造をなすSiC/SiC表面上に設けられた一様な多層コーティングを考え、SiC/SiC表面のSiC繊維による凹凸構造によって生じる散乱効果を利用して、50%以上の高い熱輻射エネルギー反射率をもつような酸化物セラミックス多層コーティングの設計を試みることを目的とした。