UMGT 用実機型水素燃料超小型燃焼器の試作と燃焼実験

摘要

1セント玉サイズのUltra Micro Gas Turbine （以下UMGT と呼ぶ）がMIT より提案されてから10年以上経過しているが、未だに一つのシステムとして完成を見ておらず、個々の要素研究の段階である。筆者らはUMGTサイズの極超小型燃焼器の研究開発を行ってきた。これまでにこのような微小空間内での燃焼学的な特性を明らかにし、特にUMGT用燃焼器としては①低圧力損失、②低熱損失割合（発熱速度に対する熱損失速度の割合:HRL）、③高い燃焼負荷率（単位体積·圧力当たりの発熱量: SHR）、④予混合燃焼、が不可欠であることを提言した。加えて、高負荷燃焼によって熱損失割合の低減が図れることを指摘し、実証した。従って実用的な極超小型燃焼器実現の鍵は微小空間内での高負荷燃焼の達成であると言える。筆者らはこのための燃焼方式としてFlat-flame燃焼方式が適していることを提案し、水素を燃料とする幾つかの試験燃焼器を用いて、この燃焼方式が微小空間内で低圧力損失のもと、高い火炎安定性と高燃焼効率及び高燃焼負荷率を実現できる、UMGTに適した燃焼方式であることを実証した。現在は、この燃焼方式はプロパンを燃料とするUMGT用燃焼器に対しても極めて有効であることがわかっている。