太陽光集熱器を用いたデシカント空調システムに関する実験研究第4報デシカント空調システムの実稼動実験結果について

摘要

世界規模の地球温暖化問題に対して危機感を持ち具体的に取り組むことが求められる時代となった．加えて，エネルギー資源の枯渇問題は，特に小資源国であるわが国にとって死活問題となると考えられる．これらの課題に対して，様々な試みが行われているが，基本的には従来の延長線である今までのエネルギー消費に支えられた社会から脱却し，少ない環境負荷で最低限の快適さ，便利さを維持する，「足るを知る」社会に転換していくことが必要となると考える．この観点から筆者らは，改めて太陽エネルギーの利用に着目することにした．太陽エネルギーは無尽蔵にあり，利用する際CO_2を排出しないため，持続的な社会を目指すこれからの時代の重要なエネルギー源のひとつとなる．太陽エネルギーの利用としては太陽光発電が一般的であるが，変換効率は未だ低い状態にあり，より有効に太陽エネルギーを使うには同時に熱として取り出し活用するべきである．このようなことから，今回筆者らは「ソーラースパンドレル」という，平板型の空気式太陽光集熱器を開発した．日射があたるアルミ製の集熱板の背面に空気を流し，太陽熱を得る(将来的には，太陽光発電と同時に利用することも想定している)．