マルチウェイブ超音波流速分布計測法を用いた混相流計測手法の開発

摘要

気液二相流に関する研究は，火力·原子力発電等のエネルギ関連のみならず，化学·バイオプラントなどの沸騰二相流特性の把握として今なお実験的研究が重要視されている．そこで著者らは、非接触測定で不透明壁や不透明流体への適応が可能である超音波流速分布計測法(UVP)を用いた，気泡流の流動構造に関する実験的研究を行ってきた。しかしながら，測定体積が比較的大きいため，計測する気泡流のボイド率によって超音波の基本周波数，すなわち超音波ビーム径(D_(us))を適切に選択する必要が生じた．著者らはTDXの基本周波数の違いによって，微粒子挙動と気泡挙動を選択的に測定できることを示した．上述の研究に基づいて，著者らは一つの超音波トランスデューサ(TDX)に，同心円状に二つの異なる共振周波数の超音波振動素子を埋め込み，マルチウェイブで計測するマルチウェイブ超音波流速分布計測法を構築し，UVPを用いた気液二相流計測を試みた．そこで本研究では，ハイドロフォン法を用いた超音波音場計測を行い，超音波特性の解明を行った．さらに，気液流量の同一条件において気泡径を変化させた気泡流に適応し，本手法の適応範囲の解明を試みた．