超音波ドップラー流速分布測定法を用いた複測定線流量計測法

摘要

現在、配管内流量計測には安価かつ国際的な規格整備されているといった観点からオリフィス、ノズル、ベンチュリー管などの差圧式流量計が主に使用されているが、これらの計測法は設置時の校正、さらに付着物等による計測精度劣化などの経年変化に対する定期的な点検、再校正が不可欠である。これに対し、超音波パルスエコーのドップラー効果を利用することで測定線上の流速分布が瞬時計測可能な超音波流速分布計測計を用い、円管内流の場合、この瞬時速度分布を管軸に対して周積分することにより流量算出を行う手法がある。本手法は瞬時流速分布から直接流量を求めていることから、原理的に校正の必要がなく、また、超音波の伝播時間差を利用したクランプオン型超音波流量計で流量算出に不可欠となる流速分布を仮定する補正係数等が不必要であるため、未発達流や曲管内流、事故時の急停止や弁の開閉時に起きる非定常流などに適用でき、経年変化の少ない過渡流量計測への応用が可能である。さらに、配管になhら加工を施す必要のない非接触計測手法であることから、本計測手法は既に設置済みの差圧式流量計や伝播時間差型超音波流量計の較正用流量計としても適用可能である点が特色である。これまで、超音波流速分布計測計を用いた流量計測法は米国NIST の標準流量計との測定誤差が0.18%であったと報告され、また、測定線を複数用いた未発達流の流量計測においては、その計測誤差が0.28%であったと報告されている。本研究では、試験流路に数種類の金属製配管を適用するために、超音波の金属透過性について検討した後、水循環ループにて複数の超音波トランスデューサを用いて流量計測を行った。また、超音波の反射体としてキャビテーション気泡を適用し、従来使用していたナイロン粒子との比較も行った。