衝撃波を伴う超音速内部流動に関する研究（マッハ2擬似衝撃波の実験と数値シミュレーション）

摘要

管路やダクトのような固体壁で囲まれた流路内において，超音速流れが亜音速流れに減速する際に発生する衝撃波は，壁面に沿って発達する境界層と干渉し，複雑な衝撃波システムを形成する．上流マッハ数が増加するに従い，衝撃波と境界層の干渉は強くなり，分枝した先頭衝撃波の後方にいくつかの後続衝撃波が形成される．このような複数の衝撃波より成る衝撃波列（shock train）とその後方に続く静圧上昇部は，全体で1つの垂直衝撃波と同等な役割を果たすと考えられ，これは擬似衝撃波（pseudo-shock wave）と呼ばれる．擬似衝撃波を伴う流れは，スクラムジェットエンジン分離部，高圧ガス配管系，超音速ディフューザなどに，流れの条件次第でしばしば出現し，流路の騒音·振動·破壊問題や流れの不安定性，機器の性能低下や不始動問題などを引き起こす．このため，擬似衝撃波の構造，特性の解明を行うことは工学上非常に重要である．近年，流路内の擬似衝撃波に関する数値解析的研究が進hでいるが，詳細な実験結果との比較はなされていない．また，擬似衝撃波の内部構造と特性について十分検討されていない状況である．本研究では，マッハ2の擬似衝撃波の詳細な内部構造および内部構造に及ぼす境界制限の影響について，実験的，数値解析的に詳細に調べ，検討した．また，擬似衝撃波の形状や壁面静圧分布に関する数値シミュレーション結果は，実験結果(8)と比較·検討される．