巻き爪矯正のための爪の機械特性の測定

摘要

日本では10人に1人が巻き爪と言われており，高齢者においては巻き爪に悩む患者が多い．とくに女性において巻き爪の割合が多く潜在患者数は相当数になるものと考えられる．巻き爪の治療においては外科的治療法による超弾性ワイヤー矯正治療や保存的治療法によるCu-Al-Mn高加工性形状記憶合金を用いた矯正等がある．安全で簡単な巻きの矯正法が必要とされ，㈱鹿浜製作所により巻き爪矯正器具が開発された．その手法は爪をお湯に浸漬し軟化させた状態で爪を正常な形状に矯正し，その後の乾燥で形状を凍結する方法である．また爪は人体において非常に大切な機能であるにも関わらず爪の基本的な性質や強度についての研究がほとhどなされていない．そこで，本研究ではヒトの爪の硬さや引張強度などの機械的特性を測定し，その結果から巻き爪矯正における浸漬温度，時間および乾燥条件の影響や矯正メカニズムを検討した結果を示す．