触覚バイオフィードバックに基づく歩行リハビリ支援システム－第13報：歩行訓練と加重移動訓練を実施可能な統合的知覚支援システムの提案

摘要

脳卒中の後遺症として片麻痺を患うと，運動麻痺·感覚麻痺によって歩行能力が低下するため日常生活に支障をきたす．そのため療法士による歩行リハビリが行われるが，（a）感覚麻痺により歩行中の麻痺側足底の接地感覚を知覚することが困難であることや（b）不安感により歩行中に麻痺足に十分に荷重をかけられないことがリハビリにおける運動学習を阻害することが多い．これまで我々は（a）感覚麻痺の問題に対して麻痺側足底圧を患者の背部へ振動刺激としてバイオフィードバックし，接地状態を容易に知覚させることができる知覚支援RTを開発し，片麻痺患者に介入を行った結果，歩幅に関して即時的な改善効果を認めた．また（b）麻痺足加重時の不安感の問題に対して，患者に気づかれないように麻痺足荷重量を増加させる非明示的加重距離延長アルゴリズムを実装したバランストレーニング装置を開発し，片麻痺患者に介入を行った結果，歩行時の麻痺足着床時間の上昇を認めた．しかし，これらが支援している歩行訓練や加重移動訓練という下肢リハビリを統合的に支援するシステムは開発されていない．そこで，本研究では歩行訓練における感覚麻痺及び加重移動訓練における不安感を支援可能な知覚支援システムの開発を目的とした．