デフケース-リングギアかしめ締結部の有限要素法解析

摘要

近年の自動車産業において環境規制強化などへの社会的意識の高まりから，排出ガス量の少ない低燃費，小型車の需要が増加している．それに伴い自動車部品の小型，軽量化をはじめ，新たな製造法を導入することで低コスト化および工期の短縮化が求められている．本研究では自動車部品の中でも鋳鉄鋳造品であるデフケースと機械加工品であるリングギアの複合部品に着目した．デフケースとリングギアを接合する際，従来の技術では図1（a）に示すボルト締結で固定している．しかし，ボルト締結は機械加工や組立の工数が多いことやボルトを使用することによってコストが高くなるため，より低コストな接合法が求められている．そこで，図1（b）に示す材料と材料を圧入し，変形させることで固定する方法である，かしめ締結がボルト締結に代わる新技術として注目されている．かしめ締結の場合，圧入のみであるため穴あけ等の機械加工が不要であり，作業工程の短縮化を図ることができる．さらに，ボルトが不要なため，軽量化および低コスト化が可能である．しかしながら，接合部の平面部分に沿った回転方向の力に弱いことから，かしめ部の割れや緩みから抜けなどの不良現象が発生することが報告され，鋳鉄品と機械加工品の複合材料のかしめ締結における強度評価方法を確立することが重要である．そこで本研究では，リングギアのかしめ締結法の自動車製品への実用化を図ることを目的とし，デフケースとリングギアのかしめ締結部の強度·剛性解析を構造用解析ソフトであるANSYSを用い，静的構造力学からFEM 解析を行い，かしめ締結における締め代の最適条件の調査を行う．