周期的当量比変動に対するよどみ流平面予混合火炎の応答

摘要

現在，ガソリンエンジンの高性能化（低燃費化，排気浄化）を目的に，燃料を燃焼室に直接噴射し，燃焼室内全体で希薄燃焼を可能とする成層燃焼方式が開発されている.最近では，ガソリンの多段噴射化による更なる高性能化に関する研究が進められている.いずれの場合も，火炎は不均質混合気中を伝播することとなり，均質混合気を伝播する火炎にはない特性を生じさせる.これに関連した数値的，実験的研究がいくつか行われている.また，実際のエンジン内における流れ場や濃度場は単純ではないため，周期的に濃度変動を与えた場合の研究も行われている.著者らは，燃料濃度の周期的変動がよどみ流予混合火炎に及ぼす影響について実験的に調査している.これまでの著者らの研究において，濃度変動は電磁弁を交互に開閉させることによって与えられていた.そのため，濃度は正弦波的に変動されることができなかった.そこで，本研究では，2組のスピーカーを交互に加振させることで，濃度を正弦波的に変動させた.また，先の研究において，燃焼器の制約から，流れ場をポテンシャル流れで近似して，燃焼速度が評価されている.しかし，流れ場の近似による評価は，実際の燃焼現象を捕えきれない可能性があり，濃度変動に対する火炎の特性を解明するには，流れ場を知る必要がある.そこで，本研究では，Particle Image Velocimetry (PIV)による流れ場の計測を可能とする燃焼器を開発した.本研究の目的は，当量比の正弦波振動に対する希薄メタン/空気火炎の位置と燃焼速度の周波数応答特性を解明することにある.