回転する飛行パイプの屋外観測と数値解析

摘要

今回の研究では，“X-zyLo”として知られているような回転しながら飛行するパイプの空気力学に焦点を当てる.飛行するパイプは，“フリスビー”として知られているような飛行円板やフットボールなどよりもより速く飛ぶ傾向がある.一般に，高レイノルズ数におけるブラフ·ボディ（鈍頭物体）を過ぎる流れは，航空力学や機械工学，スポーツなどのさまざまな分野で重要であるが，流体力学の長い歴史の中では比較的新しいテーマのひとつである.ブラフ·ボディ流れの問題の中でも3次元物体についての研究は少ない.3次元物体の基礎的な知識は，流体中を飛行または流れの中に支持されている物体の解析に要求される.を考えるのが適当である.しかし，その適用範囲の広さにもかかわらず，球や円板などの幾何学的に単純な軸対称物体を過ぎる流れでさえ，円柱などの2次元物体と比較すると，充分に明らかになっていない.その中でもパイプやチューブは単純な軸対称物体の1つである.そして，いまだにパイプを過ぎる流れに関する研究は球や円板に比べて少ないが，燃焼器や飛行機のエンジン収容部の換気装置，スクリューの収容部，スチーマ，流量計，そして飛行する遊具の設計のような多くの産業分野で有用である.リングやトーラス，ワッシャを過ぎる流れの研究は少数であるがいくつか見られる.一方，パイプを過ぎる流れに関する研究はごく少数である.更に，回転している状態のものは見られない.なお最近，新しい風車の設計に関連して，パイプを過ぎる流れは注目を集めている.