フライラインの力学 (サイドキャスティング)

摘要

フライフィッシングは長い歴史を持ち，現在ではスポーツの一つとして多くの人に楽しまれている.しかし，フライフィッシングではラインの重さを利用して疑似餌となるフライを飛ばすという独特な方法をとっているため，ラインを遠くへ飛ばすのは容易ではない.フライフィッシングは様々な要素で構成されるが，キャスティングの占める割合は極めて大きく習得しなければならない技術である.フライラインが簡単に飛ばない理由は二つある.一つは空気抵抗の影響であり，もう一つは飛行中のラインの形状が時間変化するため，ライン全体に力を伝えるのが難しいことである.空気抵抗を減らすためにはラインループをコンパクトにして，全面投影面積を小さくすればよい.ラインに的確に力を伝えるためにはラインが歪hでいたり，しわが寄っていたりしてはならない.進行方向にまっすぐであり，ループの幅が小さいほど良いとされている.したがって，キャスティングをするにあたりフライラインの動きを如何にするべきかということがとても大切なことである.しかし，フライラインは柔軟ひも状構造物であるため，その運動は複雑なものとなり，現象の把握やモデル化などが困難である.そこで，本研究ではキャスティングにおけるライン挙動を明らかにすることを目標としている.