ウシ精子の運動特性に対する粘性の影響

摘要

多種の精子の運動は鞭毛によって引き起こされており，ヒト精子も同様に鞭毛を用いて推進を行う．鞭毛運動とはこの鞭毛による能動的運動であり，屈曲運動によって推進力を発生し細胞を遊泳させる．その波形は正弦波状や非対称的，また三次元らせh状のものなど様々なタイプがある．この運動の制御については，中心の2本の微小管とそれを囲むスポーク構造が関係していると考えられるが詳細は未だに解明されていない．また，本研究ではウシ精子を用いた．ウシ精子はヒト精子と異なり，頭部形状が楕円盤上となっているため回転などの観察が容易である．同時にウシ精子の挙動を把握することは，上記目的以外にも畜産分野に於ける生殖産業に関しても有益なデータを与えると考えられる．