SPS焼結体に熱間押出し成形を施した傾斜機能形状記憶合金の特性

摘要

医療分野等で応用が進むTiNi形状記憶合金（shape memory alloy，以下SMA）は，他の合金系のSMAに比べ優れた疲労特性，生体適合性等を有することが明らかにされている．本研究ではTiNi SMAの持つ変態温度の組成依存性に着目し，放電プラズマ焼結（spark plasma sintering，以下SPS）と熱間押出し成形により傾斜機能TiNi SMAワイヤの作製を試みる．このワイヤによって，柔軟性に富み，かつ操作性に優れたガイドワイヤあるいは温度によって精密な位置制御が可能なアクチュエータの作製が可能になると考える．これまでの研究で，Ti粉末とNi粉末の混合割合を段階的に変化させた7種類のTiNi混合粉末を積層充填·焼結し，その後溶体化処理を施して作製した焼結体はその軸方向に沿って変態温度が変化する傾斜機能特性を発現することを示してきた．本報では，この傾斜機能特性を有する焼結体を用いて熱間押出し成形したワイヤについて，組織形態および応力－ひずみ応答の傾斜機能特性を評価した結果を報告する．