SPring-8の産業利用

摘要

全体でみると、専用ビームラインでは、9本中4本が産業利用であるが、共用ビームラインでは、産業利用優先のビームライン一本を含み10数%程度である。しかしながら、これまで蓄積されてきた世界最先端の分析技術が、産業界に強力なツールを提供することは確実である。こうした、最近の利用拡大と分析技術の蓄積の上で、製品化や事業化など最終目標に向けての戦略的な取組も顕在化してきている。ここでは、先行したエレクトロニクス分野で、最先端の分析ツールがどう使われているかから、最近の利用動向の変化を紹介する。さらに、最先端の分析ツールが事業にどう貢献したか、体表的な成功事例を紹介する。SPring-8の利用が産業の活性化や発展につながることは、大型の公的投資によるインフラを広く社会に還元する国の重要な目的を果すことになり、いよいよ本格的な最終段階に差し掛かったと考えている。