固液二相性ハイドロゲル人工軟骨のトライボ特性評価（続報）

摘要

近年の超高齢化の進行に伴い高齢者の運動能力維持による自立が必要とされている．変形性関節症などの関節疾患患者に対して，国内だけでも年間20万例程度の人工関節置換術が適用されており，運動機能の回復や除痛の恩恵が得られている．しかるに，摩耗粉への異物反応に起因する骨溶解の発生により人工関節の弛みをきたし再置換が必要な症例も増えている．その対策として，超高分子量ポリエチレンなどの摩擦面材料の耐摩耗性を改善する研究が進められ摩耗レベルが低減しつつあるが，完全な摩耗抑止は達成されていない．本研究では，生体関節の優れた潤滑機構を再現するために，高含水性のハイドロゲルを人工軟骨として適用し潤滑機能の根本的改善を目指している．前報では，流体動圧作用が不十分となる低速の条件で有効性が期待される固液二相潤滑の役割を評価した．本報では，新たなハイブリッドゲルを含めてトライボ特性の再評価を行ったので報告する．