転がり滑り潤滑条件下におけるリン酸マンガン皮膜が鋼のなじみ性に及ぼす影響

摘要

建機等に用いられる変速機やディファレンシャルギヤボックスは主に燃費向上を目的としてコンパクト化が求められている．歯車のコンパクト化による高面圧化に対応するために，転動疲労強度の向上が求められている．我々は，歯車の更なる転動疲労強度向上のシーズとしてリン酸マンガン皮膜に着目している．我々はこれまでに，リン酸マンガン皮膜により浸炭焼き入れ材の転動疲労強度が改善することを二円筒疲労試験により確認し，その要因として初期なじみ過程に着目している．初期なじみ過程の中でも特に，リン酸マンガンが摩滅するまでの過程に転動疲労強度が向上する要因があると考えられる．そこで本研究では，比較的面圧が低く，かつ試験中の摺動状況を詳細にモニタリングできる摺動試験機を用いることで，リン酸マンガンが摩滅する過程を詳細に把握することを目的とする．