「自動車用シンクロナイザーリング摩擦特性の基礎研究 第二報：シンクロナイザーリング材と油剤の影響」

摘要

自動車の手動変速機に用いられるシンクロナイザーリング（以下，リングと略）は，車両変速時に動力の遮断と締結を行なう摩擦要素であり，その摩擦特性は実際に使用されるリングと，相手しゅう動面となるギヤコーンとの組み合わせによるシンクロ部品性能として評価されることが多い．このため，部品形状に加工されていないリング材料自身の摩擦特性について報告された例は少なく，油剤の影響も考慮した基礎的な設計資料は十分とは言えない．ここでは，第一報で報告する3 ピンオンディスク試験機を用いて，実際の手動変速機で用いられるリング材，相手ギアコーン材と油剤の組み合わせにおける摩擦特性について調べ，各々が及ぼす影響について考察したので報告する．