アンギュラ玉軸受の軸方向微小振動を発生させる機械的因子について

摘要

人工衛星の搭載機器に使用される軸受等の機械部品に対して，近年では各種センサ等の位置決め精度の向上を目的として，極めて低いレベルの回転振動が要求されてきている．玉軸受で支持された軸系で発生する振動として，回転体の不つりあいや玉軸受の非線形ばね特性に起因するものなどがある．これらの振動を発生させる主原因となる機械的因子（例えば，内輪や外輪の非真円性，玉の直径不ぞろい）については明らかにされているが，実際の軸系における振動の大きさを予測あるいは低減する方法を検討するためには，実際の軸系で試験あるいは解析を行い，振動に影響を及ぼす支配的な機械的因子を把握しておく必要がある．そこで本研究では，玉軸受の振動に与える機械的因子の影響を理解することを目的として，軸受を組み付けるホルダの組立精度やミスアライメントと回転時の振動の関係を試験により調べた．本報では，著者らの経験上，組立精度やミスアライメントの影響を受けやすい回転速度の2 倍成分の軸方向振動に注目して試験を行った結果について報告する．