歪ゲージを用いたドライバーのための呼吸および心拍の無拘束無侵襲計測

摘要

高齢化社会を迎え高齢者の運転免許所持者の割合 が年年増加しており，自動車運転中の呼吸障害や心 機能障害による交通事故の急増が危惧されている.このようなことから，著者らは先に歪ゲージを用 いた運転者用の呼吸及び心拍の無拘束無侵襲計測シ ステムを報告·提案したが，瞬時呼吸周期について は，一部体動により生じる低周波数の時変バイアス のため周期が少し長めに計測される結果が得られて いた.これは，センサ出力からローパスフィルタにより呼吸信号を抽出した際，低周波数の時変バイアス が残る場合があったからである.一方，瞬時心拍周期の計測に際しては，良好な結果 が得られていたものの，時折，計測精度が劣化する傾 向が見られた.これは，歪ゲージセンサ出力から心拍 信号を抽出したときのバンドパスフィルタ出力には， (呼吸信号の周期波成分を除去できたものの）呼吸信 号によるセンサ出力の振幅変調に起因した（呼吸周 期の）第2,第3高調波成分が含まれたからである.従って，本稿では，呼吸信号の抽出に際しては，バ ンドパスフィルタを用いることにより，また心拍計 測に際しては，ダイナミックモデルの次数を増やす ことにより，瞬時呼吸周期及び瞬時心拍周期を安定 に，かつ高精度に計測できるシステムを提案する.