焦電結晶を用いた小型高エネルギーX線源の開発

摘要

焦電結晶とは温度変化によって表面に電荷が現れる結晶のことであり、外部電場なしでもすでに自発分極をしている。温度変化の際にこの分極が大きくなり、真空中において表面に電荷が発生することで周囲の荷電粒子を加速し、結晶裏面においてX線を発生させることが知られている。これを利用してAmptek社から35keV程度までのエネルギーのX線を発生させるCool-Xが発売されている。しかしさらに高エネルギーのX線が発生させられれば蛍光X線分析において観測できる特性X線の種類が増えることや、発生する電場を利用し核融合を起こすことで中性子の発生を期待できる。これまででは焦電結晶を用い。大型の真空チャンバー内で条件を変えながら発生するX線の測定を行ってきた。その結果を利用して、本研究では携帯可能なサイズかつ高エネルギーのX線源を製作し，蛍光X線分析用の線源として実際の応用可能性を評価することを目的とした。