マグネシウム合金の圧延について

摘要

プレス成形による部品製造は、量産性に優れ、多くの金属材料で利用されているが、マグネシウム合金ではダイカスト成形法が用いられることが多い。この理由は、マグネシウム合金では温間成形が要求されることと、プレス母材となる板材が普及していないことによる。マグネシウム合金の地金価格はアルミニウム合金とほぼ同等だが、板材価格は大幅に高い。この理由は、マグネシウム合金は良質な圧延母材を得難く、加熱状態での圧延が必要なためである。しかしながら、可搬型電子機器の筐体にマグネシウムが採用されるようになり、表面品質や落下時の耐衝撃性などに優れるプレス成形品は注目を集めている。最近では、温間成形技術が進展し、プレス成形に関する諸問題は解決されつつある。また、軽量化が求められる自動車用の大型部材には、板材の適用が有効である。こうした背景から、マグネシウム板材の供給は強く求められており、各方面において板材製造技術が開発されている。ここでは、長い歴史を持ちながらも、発展途上にあるマグネシウム合金の圧延について概説する。