環境調和型木質粉末の成形技術

摘要

本研究では，これまでの木質材料で問題となる石油系接着剤などを一切使用せずに，木材の構成要素のみで固形化させる技術開発を推進するうえで木材粉末に着目した．木材を粉末状にすることで，構成成分リグニンの接着効果を効率的に利用することが可能となる．また，金属粉末やセラミックスなどの既存の粉末成形技術を木材粉末に応用することによって，これまで木材で困難であった複雑形状品や薄肉製品を製造することができると共に，この成形技術によって製造されたものは，ホルムアルデヒドやダイオキシンなどを発生しないので人と環境にやさしい製品となる．これまでに，木材粉末のみを原料として任意の複雑形状の木質製品を製造するための基礎的研究として，木材粉末の圧粉および流動特性を調査してきた．また，この特性をもとにして木材粉末のみを原料とした粉末成形技術の可能性（ホットプレス，射出成形，押出し加工，圧延加工）について実験的に検討した．