蛍光X線分析法を用いた耐候性鋼材表面の付着塩分量計測検討

摘要

現状での耐候性鋼材の付着塩分量計測法は，主に電気伝導度法であるが，以下の課題がある， ①さび面の凹凸が大きいと脱イオン水の漏れ等で計測できない，②計測時間（脱イオン水の撹 拝時間等）により計測値が変動する，③プローブ内に充填された脱イオン水に溶出した塩類（可 溶電解質：塩化物，硫化物等）を計測し，塩分濃度NaClに換算して塩分量を求めるため，NaCl やClを個別に計測できない．一方で，腐食因子であるさび表面の付着塩分量値が重要な目安 値となっている．一つは，耐侯性銅棒染向けの工場管理時や架設現場保持の付着塩分量は，目 安値が100mg/m~2以下となっており，もう一つは，補修塗装時の素地調整では，付着塩分量を 50mg/m~2以下とすることとなっている1）．このように，管理値として重要な付着塩分量を正確 に計測し，この計測結果とその耐久性等の結果を検証することは重要と考えられる．そこで， 電気伝導度法と比較して，さび表面の凹凸の影響や，計測時間による計測値変動が少なく，直 接的にClを計測可能な携帯型蛍光X線分析（法）装置（以下；XRF法）を用いて，耐侯性鋼材と実 耐侯性鋼橋梁の計測結果を報告する．