流動床ボイラ伝熱管用高Fe含有Ni基自溶合金コーティング表面の凹凸形状形成機構

摘要

バイオマス発電等で用いられる流動床ボイラでは炉底から吹き込まれる空気によって砂などの固体粒子を流動攪拌させており，層内伝熱管は流動する粒子によるエロージョンに加えて，燃焼環境中の高い塩化腐食雰囲気によるコロージョンによって激しく損耗する．現在，我々のグループでは，循環流動床ボイラ内の伝熱管に施す溶射コーティング材の開発を行っており，これまでの検討から，Feを高濃度含有する高Fe含有Ni基自溶合金を開発した．この合金を用いて施行された溶射コーティングの特徴は，フュージング時にコーティング表面にFig．1に示す凹凸形状が形成することであり，これが高い耐E-C性を示すことが実機試験から明らかになっている．一方，この凹凸形状の形成機構は不明であることから，本研究では，表面凹凸形状の形成機構の解明を目的として，コーティングの組織分析やコーティング粉末材の熱分析，溶解急冷凝固実験を実施するとともに，模擬試料による検証試験を行った．