湿潤面用塗料の塗膜形成過程の解析

摘要

高度経済成長期に建設された多くの社会基盤設備は老朽化が進行しており，腐食に起因する重大な事故が発生することを未然に防ぐため，適切な時期に補修塗装を行うことが求められる．しかし，稼働中の設備や構造物においては，腐食が進行しているにもかかわらず，常態的な結露や飛沫等による湿潤のために補修塗装ができず，次回の定期修繕までの間になすすべなく放置せざるを得ないケースが存在する．これら課題の解決のため，我々は湿潤面適性を有する溶剤型エポキシ樹脂塗料を開発し，その湿潤面作業性や塗膜性能が良好であることを報告している．しかし，湿潤環境中で塗布され，硬化し成膜するまでの過程については解析できていない．そこで，湿潤環境中の塗膜形成過程を解析する手法として，電気化学インピーダンス（EIS）法を検討した.