ねじ圧造工具の十字穴成形部における応力振幅に及ぼす頭部形状の影響－長寿命圧造工具の開発（第3報）

摘要

精密機器の締結に用いる小ねじ（M1.0～M2.6）の冷間圧造では，近年，緩み防止やいたずら防止に伴う頭部形状の複雑化のため，疲労破壊による工具寿命の低下が顕在化している．疲労破壊への対策として，既報で，衝撃を吸収し，効率的に分散する応力低減構造を有する圧造工具を提案し，M2なべ頭ねじを対象に寿命試験を実施した結果，約3倍の寿命伸長を確認した．同圧造工具は，工具内部に空間を設けた構造であり，受圧部の微小な弾性変形を許容するバネ効果を利用して，受圧部が受ける衝撃エネルギーを弾性ひずみエネルギーとして吸収し，工具全体に分散させる機能を持っ．本報では，M2ねじの十字穴傾斜部において，疲労破壊と関連がある応力振幅に及ぼすねじの頭部形状の影響を明らかにした．