鉄系形状記憶合金線の伸線性向上

摘要

形状記憶合金は，眼鏡フレームや医療機器など多くの製品に利用されている．吉田らは，Ni-Ti形状記憶合金線を利用した解体容易なねじをすでに開発し，資源リサイクルの容易化に貢献している．Ni-Ti形状記憶合金は，形状記憶特性は非常に良いが，マルテンサイト変態開始温度が最大でも100°Cであることと，合金価格が高価であることが短所である．廃棄される製品には家電製品，自動車，一般機械などの種々のものがあり，易解体ねじへの市場要求は，安価であり解体温度が低温域から高温域まで指定できることである．そこで，本報では安価であり高温変態温度をもつ鉄系形状記憶合金線を取り上げ，伸線性について検討した．具体的には線材表面に偏析した硬脆層の除去と1パス断面減少率，中間焼鈍しなどの加工条件が伸線性に与える影響について検討した．