ステンレス鋼板のしごき加工における摩擦挙動 - 各種極圧添加剤の潤滑効果

摘要

ステンレス鋼は変形抵抗が大きく，鍛造加工時に焼付きを生じやすいので，加工が困難である．現在ステンレス成形用の潤滑剤として塩素系の極圧添加剤が配合された潤滑剤が多く用いられている．塩素系添加剤の摩擦低減は，ステンレス鋼表面に存在する酸化クロム皮膜を腐食し，下地の鉄部分と反応することによるといわれている．しかし近年塩素化パラフィンが発ガン性物質に認定されたことや環境への配慮などから塩素フリーの潤滑剤が求められている．筆者らによるステンレスに対する潤滑性能評価の報告もすでにあるが，さらなる研究が必要となっている．本研究では，塩素以外に期待される添加剤の中で，過塩基スルホネート，硫黄系添加剤，亜鉛系添加剤，およびリン系添加剤の添加効果を，SUS304Lに用いたしごき形摩擦試験機により評価する．加工中の摩擦係数と被加工材やダイスの表面状態から，しごき加工における摩擦挙動を調べる．