コアンダ効果により誘起される渦崩壊現象と渦笛

摘要

旋回流ジェットは，ノズル出口の曲率が閾値以下の場合に剥離を伴わない付着流（コアンダ効果の発現）となり，微細気泡を生成する際に使用される．本研究では，渦崩壊に伴う音波（渦笛）の発生機構およびこの渦崩壊流れのモデル化について考察する．渦崩壊とは，直線状の渦核がバブル状に膨張もしくはスパイラル状に変形する現象をいう．この現象は，燃焼器，冷却器，マイクロバブル発生器などで利用されており，理論的にも興味深いことから数多くの研究が行われてきた．一方で，渦崩壊現象は未だに研究途上にあり，主に以下の３つのモデル化がある．1.軸方向流を有する渦核の運動量方程式：Lundgren and Ashurst (1989).2. 非粘性の渦度方程式（Bragg-Hawthorne方程式））： Keller and Egli (1985, 1988).3. Navier-Stokes 方程式： Ruith(2003), Philippe Meligaら(2012)．旋回流型微細気泡発生器は，旋回流中に気体を供給しマイクロバブルを生成する機器であり，関連する物理現象には，渦崩壊，コアンダ効果，気液二層流，渦笛という興味深い事象が含まれる．本研究では，コアンダ効果による渦崩壊と音波の発生および渦崩壊現象のモデル化を議論する．まず，第２章では音波および流れ場の実験について述べ，第３章では渦崩壊現象の解析について述べ，最後に第４章でまとめる．