低レイノルズ数はく離再付着過程の閉ループ制御システムの構築-センサ位置の妥当性-

摘要

近年，機器の小型化による長さスケールの減少により，低レイノルズ数域の流体機械が注目されている．流体機械のエネルギ効率の向上のためには，はく離再付着流れの制御は重要な課題の一つである．はく離再付着流れで現れる再循環領域は圧力損失，騒音や振動など工学的に好ましくない現象を引き起こす．一方，はく離により形成されるはく離せh断層は熱や物質の混合促進の効果が期待できることから，再循環領域のサイズを抑制する研究が注目されている．本研究では，はく離点を固定でき，再付着点を計測することで再循環領域の流れ方向のサイズを容易に評価できる後方ステップ流れにより，はく離再付着流れを再現した．励起デバイスによるはく離再付着流れの制御に関する過去の研究では，はく離せh断層により発生する横渦の通過周期である36Hz 付近でせh断層にじょう乱を与えると最もはく離再付着距離の抑制効果が高いことが示され，ストローハル数S_t = 0.2 - 0.4 付近のじょう乱が再付着を促進することなどが示されている．このように，再付着距離の抑制には周期的なじょう乱を与えることが重要である．本研究は，外部からの流体の供給が不要であり，吹出しと吸込みにより周期的なじょう乱をはく離せh断層に与えることが可能であるシンセティックジェットにより，はく離再付着過程の閉ループ制御を行うことを最終目標とする．スパン方向に離散的にシンセティックジェットが配置されても，スパン方向の再付着過程の二次元性が保たれれば，後方ステップ流れ閉ループ制御システムでのセンサ負荷を著しく軽減できる．本論文では，センサ位置及び数に関する設計指針を確立するために，シンセティックジェットのスパン方向ピッチを変化させた時の再付着過程の二次元性の検討及び流れ場の解析を目的とする．