非定常等角写像を用いた重力·表面張力水波の強非線形数値計算

摘要

本研究では，深さが無限大の水の表面を一方向に進む重力·表面張力水波の，進行方向に沿った鉛直断面内における2 次元的な非定常渦無し運動を考える（Fig.1(a)）．このような運動の自由表面条件を近似せずに数値的に解を求める方法（強非線形数値計算法）として，境界積分法に基づいた方法(mixed Eulerian-Lagrangian method，MEL 法とよぶ) が最も標準的な方法として知られている．一方，時々刻々変化する流場を，複素平面の下半面やFig.1(b) のような単位円板上に等角写像で写して計算する方法が最近提案されている．写された複素平面における自由表面の時間発展を支配する方程式はsurface Euler equations とよばれるので，本研究ではこの計算方法をSEE 法とよぶ．SEE 法が水波の非定常運動の数値計算に適用できることは示されているが，他の方法と比べてどのような特徴があるかについては明らかにされていない．本研究の目的は，MEL 法とSEE 法を重力·表面張力水波の数値計算を用いて比較し，それぞれの特徴を整理することである．