乱流粘性率の輸送方程式にもとづく3方程式レイノルズ平均モデリング

摘要

レイノルズ平均モデリングは、乱流粘性率表現を主要項としてもつ陽的代数モデリングと、レイノルズ応力などの輸送方程式を直接モデノ巧ヒする2次モデリングに大別される。前者は、後者に比べ、数学的表現の簡潔さ、数値計算に際しての安定性、境界条件の少なさなどの長所を有する。これに対して、後者は輸送方程式を直接扱うため、平均量を支配するレイノルズ応力などの乱流量への非定常および移流効果を、直接取り込むことができる。通常の陽的代数モデリングでは、これらの効果は乱流エネルギー方程式などを通して取り扱われるため、間接的なものとなる。本研究では、陽的代数モデリングの枠内で2次モデリングの長所を部分的に取り入れるために、乱流粘性率を代数表現に替わって輸送方程式から求める。乱流エネルギー方程式がレイノルズ応力輸送方程式のトレイス部分に対応するのに対して、乱流粘性率方程式はこれまで十分注目されなかったトレイスレス部分から導出される。方程式中に現れる乱流量は、通常の2方程式型の陽的代数モデリングの乱流量（エネルギーと散逸率）方程式同形のものから計算される。その結果、本モデルは3方程式モデリングとなる。